0806 奇妙な果実

甘い果実を頬張った

真夜中の公園の水面に寝そべり
僕は早い雲と 落ちそうな月を追いかけて
高速道路を東に走ってゆく

眠ってしまうには あまりに天高く
溺れてしまうには あまりにも静寂

透明な楽園に手を突っ込み
チタン色の炎を取り出す…

ノイジーな映像は 秒針が歩くよりずっと速く
部屋のあちらこちらを 忙しく駆けずり回る

スペードの女王 ギロチン 操り人形 繋がる糸
宙に浮く体 腹話術 復元される紙幣 催眠術 からくり時計

微笑む魔術師 手をたたく観客

どちらでもなく 僕は手品

0808 a falling star

それはたった一瞬に過ぎない

恐れる暇も無ければ 楽しむ余裕も無い

流星に願いごとをする訓練が

役に立つ唯一の方法かもしれない

0811 興味なし

僕の直感力はなんと役立たずなのか…
いくら意識を集中したところで
グランドクロスという世にも稀なる一大イベントに
なんの危機感も興味も示さない

好奇心旺盛なくせに興味なし…か

0829 嵐の前の静寂

こんな静けさの後に

いつも悲劇は訪れるのだ

0901 クーデター

予言ではなく

警告する

静かにしとくのが身のためだ

そして

よく考えた方がいい

果たして準備しているのは

どっちなのか…

0909 上を向いて歩こう

今日も静寂は続いた

9が幾つも並ぶその瞬間

どうやら妹はグリニッジの正確な時報を聞いていたらしい

日蝕やグランドクロスより気持ちが高揚したようだ

僕はといえばまたもやまったく無関心に時が過ぎた

言葉の泉にも潮の満ち引きのようなものがあって

ここ数日間は本当に何も沸き上がってこない

静寂はなおも続く…

道で突然、老人に「あなたをずっと探していました」と声をかけられた

「人違いです」と答える僕 なぜなら僕は彼が誰かを知っていたからだ

たとえそれが千年に一度の出会いでも

タイミングが悪ければ 僕はすれ違うことを選択する

今日はいつもと変わらない何の変哲もない一日

なにもない とは なんと素敵なことだろう

今日は上を向いて歩こう 涙がこぼれないように…

0911 鍵による鍵

鍵は自主的に破棄いたしました
(正しくは、日記「鍵による鍵」は自主的に削除いたしました、です)

0916 6番目の鏡

手の平に乗せた人工衛星から

きみの心臓を取り出すと

闇と同じ質量をもったハローが

時間の運転手を包囲した

6番目の鏡が準備され

北西の昆虫を映し出すと

地下施設での会話は膨張と収縮を繰り返し

水の隙間を光としてすり抜けるように

とある動物に記憶として保存された

利己的なリズムとの約束に陶酔する

二つの三角の鍵を持つ真珠の末裔よ

着古したビニールのような瞳で

このレクイエムにキスしておくれ

0917 What's a vision?

今の僕は全く直感が働かない

これは僕にとって、とても楽しい事件である

0925 奇跡

そして奇跡は
起こすのではなく
起きるのだ

「奇跡が起こる絶対条件は
可能性がゼロであること」

そう昔書いたことがある

その条件に
大きな足音を立てながら
どんどんと
近づいてくる
巨人がいる

奇跡を起こす人間は
絶対にいない
なぜなら
その瞬間
彼は
人間ではなく
奇跡となるからだ

1001 Reaction

謎解きのヒントは与えられていた

どうする?兄妹たちよ

我々のメッセージは

槍にも盾にもならず

嘆きや涙と成り果てる

実体のある見えざるもの

しかしそれは幻影ではない

1025 STAR GATE

座標コード8−7−5−0−2
絶対的な位置が存在する可能性
あるいは非常に有効なる目印

その扉を開いた人々は知っている
あらゆる願望を実現すべく進化し
世界は偉大なる発展を遂げる
隠れ蓑を手に入れ
新しいコミュニケーション手段を発見する
多重人格者は病人ではなく勝利者となる
時には限り無く純粋なる恋をし
時には迷いのひとかけらもなく自他問わず命を奪う
世界規模の謀略も新世界での価値は急落
現在は未来を想像できず
未来は過去を忘却する

その扉を開いた人々は知っている
隣人の存在を
孤独じゃない世界を
嘘と真実の意味を
その扉から旅立つ人と留まる人
幻とひとときの快楽に酔いしれダンスするか?
魂と永遠の謎を追いかける冒険に出かけるか?
欲望とは果てしなく永遠性に満ちている
神聖なるものは触れ難く現実感も希薄である

その扉を開いた人々は知っている
万人に与えられたチャンスと
一握りの者で独占しようとしている蜜の壷の存在を
悲劇のヒロインを演じるなら演じるがいい
しかし物語の主役となるヒロイン達は皆
苦境の中でも決して諦めず 前を向き 
耐える事と学ぶ事を手放さないことも忘れてはいけない
悲劇の中で溺れてしまうオフィーリアのような人物は
スポットを浴びる事はあっても決して主人公にはなり得ないのだ

その扉を開いた人々は知っている
たったひとつの月とたったひとつの太陽に愛される星が
いかに神秘的で特別な生命を育むかを

1212 時計

それは終わり

それは始まり

まるで新世界の誕生

1225 3

それはテストに過ぎない

本当の問題はもっと後から手渡される

答えは傍観者の心の内

動くか 

動かすか 

微動だにせずか

お手並み拝見

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